「保身」という言葉には、どこか後ろ向きな響きがあります。自分の立場や評価を守ることに意識が向き、責任を回避する姿勢として語られることも少なくありません。
一方で「献身」は、自らの利益を超えて誰かや何かのために尽くす姿勢を意味します。企業にとって、どちらの姿勢が望ましいかは明らかでしょう。
しかし現実の組織において、人はなぜ保身に傾くのでしょうか。また、どうすれば献身の心が自然と芽生える環境をつくることができるのでしょうか。
見せかけのスローガンや比較評価ではなく、一人ひとりにどう寄り添い、どう向き合うか。本稿では「保身か、献身か」という対比を通じて、組織の在り方と未来について考えていきます。

【目次】
1.保身はなぜ生まれるのか
2.献身は命令しても生まれない
3.相対評価から絶対承認へ
4.説得ではなく腹落ちへ
5.企業としての“義理”を尽くす
6.保身から献身へ ― 組織文化を変える視点
7.共創ソリューションズとしてできること
1.保身はなぜ生まれるのか
「保身」と聞くと、どこか後ろ向きで、責任を避けるような印象を抱きがちです。しかし本来、保身とは“自分を守ろうとする自然な本能”でもあります。
人は評価され、比較され、失敗を責められる環境に置かれると、防衛的になります。挑戦よりも無難を選び、意見よりも沈黙を選ぶ。その結果、組織全体が消極的になっていくのです。
つまり、保身は個人の資質の問題ではなく、組織風土が生み出す現象ともいえるでしょう。
2.献身は命令しても生まれない
「会社のために尽くせ」「もっと主体的に動け」。そう言われて本当に献身的になれるでしょうか。
献身とは、自らの意思で“意味”を見出したときに初めて芽生えるものです。強制や精神論ではなく、「この会社のために力を尽くしたい」と心から思える状態が必要なのです。
命令で動く人はいても、命令で心は動きません。献身は、管理ではなく共感から生まれます。
3.相対評価から絶対承認へ
他者との比較ばかりの組織では、人は自分を守ろうとします。順位や評価を気にするほど、本音は隠されていきます。
一方で、「あなたはあなたとして必要だ」と認められたとき、人は安心し、自分の力を差し出そうとします。
献身の土壌は、競争ではなく承認です。相対的な優劣ではなく、絶対的な存在価値を認める文化が、組織に温度を生み出します。
4.説得ではなく腹落ちへ
正論は正しくても、人の心を動かすとは限りません。上からの説明や指示だけでは、納得ではなく“従属”が生まれます。
大切なのは、対話です。なぜそれを目指すのか。何のためにやるのか。お互いの想いを言語化し、共通の目的を見出すこと。
腹落ちした瞬間、人は自ら動き始めます。そこにこそ、本当の主体性があります。
5.企業としての“義理”を尽くす
献身を求める前に、企業として何を差し出しているでしょうか。
約束を守る。
努力を正しく評価する。
誠実に向き合う。
企業が義理を尽くす姿勢を示してこそ、信頼が積み重なります。言葉で理想を語るよりも、行動で示す誠実さが組織文化をつくります。
6.保身から献身へ ― 組織文化を変える視点
「もっと頑張れ」と個人を責めても、構造が変わらなければ何も変わりません。
空気を変えるのは、トップや中間層の姿勢です。
安心して意見を言える環境。
挑戦を咎めない風土。
小さな成功体験の積み重ねが、やがて文化になります。保身が当たり前の組織か、献身が自然に生まれる組織か。それは“在り方”の選択なのです。
7.共創ソリューションズとしてできること
献身の心を説くことは簡単です。しかし、それを組織文化として根付かせることは容易ではありません。
私たち共創ソリューションズは、理念の再整理、対話設計、組織風土の可視化を通じて、「在り方」から組織を整える伴走を行います。
説得ではなく腹落ちへ。命令ではなく共感へ。
保身から献身へと向かう組織づくりを、共に考え、共に歩んでいきたいと考えています。
組織の未来を決めるのは、制度でも戦略でもなく、そこで働く一人ひとりの“在り方”です。
保身が悪いのではありません。しかし、守ることばかりを選び続けたとき、組織は静かに縮んでいきます。
誰かに献身を求める前に、まず企業として義理を尽くしているか。誰かを変えようとする前に、自らの姿勢を問い直しているか。その積み重ねが、やがて組織文化となり、未来を形づくります。
保身か、献身か。その選択は、いつも私たち自身の中にあります。
