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第44回:“やり方”より“あり方”を ― AI時代に立ち返る人間の軸

目次

AIが急速に普及し、論理思考や情報処理、記憶力といった分野では、人間が太刀打ちできない時代が当たり前になりつつあります。効率や正解を最短で導き出すことが評価され、「どうやるか」という“やり方”ばかりが重視される風潮も、ますます強まっています。しかし、私たちは本当にそれだけを追い求めてよいのでしょうか。

哲学や儒学といった本学が教えてきたのは、技術ではなく「人としてどう在るべきか」という問いでした。道徳観や倫理観、他者への思いやりといった価値は、AIがどれだけ進化しても代替できない、人間固有の軸です。“やり方”に目を奪われがちな今だからこそ、一度立ち止まり、「あり方」に立ち返ることが、これからの時代を生き抜くヒントになるのではないでしょうか。

本稿では、AI時代における人間の軸を見つめ直し、人や顧客とどう向き合い、共創していくべきかについて考えていきます。

 

【目次】

1.AI時代に、人間は何で価値を発揮するのか

2.「やり方」が重視されすぎていないか

3.本学(あり方)と末学(やり方)の関係

4.人間力とは、道徳観・倫理観に根ざしたもの

5.「あり方」が組織と共創を支える

6.共創ソリューションズが大切にしている視点

 

AIが当たり前の存在となった今、論理思考や情報処理、記憶力といった分野において、人間がAIに勝つことはもはや現実的ではありません。正確さや速さ、効率を競う世界では、AIは人間のはるか先を走っています。では、この時代において人間は、どこに価値を見出し、どのように生きていくべきなのでしょうか。

近年、仕事や学びの現場では「やり方」が過度に重視される傾向があります。成果を出すための方法論、効率化の手段、成功事例の横展開。もちろん、それらは否定されるものではありません。しかし、本来大切にすべき「あり方」が置き去りにされてはいないでしょうか。「本末転倒」という言葉があるように、土台となる考え方や価値観が曖昧なままでは、どれほど優れたやり方も長続きしません。

哲学や儒学といった本学は、古くから「人としてどうあるべきか」を問い続けてきました。時代や技術が変わっても、人の本質は大きく変わらない。だからこそ、道徳観や倫理観、他者への敬意といった価値観が、判断に迷ったときの指針となります。それは、0か1かで答えを出すAIには決して担えない、人間ならではの領域です。

この「あり方」は、個人だけでなく、組織にも大きな影響を与えます。価値観が共有されていない組織では、判断が場当たり的になり、意思決定に一貫性がなくなります。一方で、共通の軸がある組織では、迷ったときに立ち返る場所があり、社員同士のコミュニケーションにも深みが生まれます

顧客対応や人材育成の場面でも、その組織の「あり方」は自然とにじみ出るものです。

AI時代において重要なのは、AIと競うことではありません。AIを道具として活かしながら、人は「考える」「寄り添う」「意味を見出す」役割を担っていく。そのためには、技術以前に、人としての軸が必要です。価値観を共有し、相手を理解しようとする姿勢があってこそ、真の共創が生まれるのではないでしょうか

共創ソリューションズでは、「やり方」を押し付けるのではなく、「あり方」を共に考えることを大切にしています。経営理念や価値観を言葉にし、それを現場に根づかせていくプロセス。人と組織の軸を整え、変化の時代にも揺るがない土台をつくること。一社一社の背景や想いに寄り添いながら、伴走型で支援していきたいと考えています。

技術が進化するほど、人間の本質が問われる時代になります。変わり続ける環境の中でこそ、変わらない「あり方」が、未来を切り拓く力になるのではないでしょうか

 

1.AI時代に、人間は何で価値を発揮するのか

AIが当たり前になった今、論理思考や情報処理、記憶力といった分野では、人間はAIに到底かないません。正確さ、速さ、効率――こうした領域では、すでに勝負は決していると言ってもよいでしょう。では、この時代において、人間はどこで価値を発揮すべきなのでしょうか。

それは「何ができるか」ではなく、「どう在るか」という部分にあると感じています。AIがどれほど進化しても、人の心に寄り添い、意味や価値を見出し、関係性を紡ぐことは人間にしかできません。今こそ、人間の役割を見つめ直す必要があるのではないでしょうか。

 

2.「やり方」が重視されすぎていないか

最近のビジネスの現場では、「やり方」が過度に重視されているように感じます。成果を出すための方法論、効率化のノウハウ、成功事例の横展開。確かに、それらは必要な要素です。

しかし、その前提となる「なぜそれをやるのか」「何を大切にしたいのか」という部分が曖昧なままでは、やり方はすぐに形骸化してしまいます。やり方は時代や環境によって変わりますが、あり方は簡単には変わりません。土台が弱ければ、どれほど立派な方法論も長続きしないのです。

 

3.本学(あり方)と末学(やり方)の関係

「本末転倒」という言葉があります。本来大切にすべき本学よりも、末学ばかりに目が向いてしまう状態を表しています。哲学や儒学といった本学は、「人としてどうあるべきか」を問い続けてきました。そこには、時代が変わっても色あせない価値観があります。

一方で、末学である「やり方」は、環境や技術の変化によって常に更新されていくものです。本学がしっかりしていれば、やり方が変わっても判断に迷いません。AI時代だからこそ、改めてこの順序を意識することが重要だと感じます。

 

4.人間力とは、道徳観・倫理観に根ざしたもの

人間力という言葉は抽象的ですが、その中核にあるのは、道徳観や倫理観だと考えています。相手の立場を思いやること、目先の利益だけで判断しないこと、誠実であろうとする姿勢。これらは数値化できませんが、確実に人の信頼を生みます。

AIは最適解を導くことはできますが、「それが人として正しいかどうか」を判断することはできません。だからこそ、人が意思決定を行う場面では、こうした人間的な軸が欠かせないのです。

 

5.「あり方」が組織と共創を支える

個人のあり方は、そのまま組織のあり方にもつながります。価値観が共有されていない組織では、判断基準が人によって異なり、迷いや摩擦が生じやすくなります。一方で、共通の軸がある組織では、判断に迷ったときに立ち返る場所があります

その軸は、社員同士の関係性や、顧客との向き合い方にも表れます。相手に寄り添い、共に考え、共に創る――こうした姿勢は、やり方ではなく、あり方から自然と生まれるものです。

 

6.共創ソリューションズが大切にしている視点

共創ソリューションズでは、単なる手法や制度の導入ではなく、その企業ならではの「あり方」を共に言語化し、育てていくことを大切にしています。経営理念や価値観を整理し、現場で生きた共通言語として根づかせていく。そのプロセスこそが、変化の激しい時代を乗り越える力になると考えています。

AIが進化すればするほど、人間の本質が問われる時代になります。だからこそ、「やり方」よりも「あり方」に立ち返り、人と組織の軸を整える。そのお手伝いを、これからも共にしていきたいと思います。

 

AIがどれほど進化しても、人としての「あり方」は代替できません。だからこそ今立ち止まり、自分たちの軸を問い直すことが、未来への最も確かな一歩になるのではないでしょうか。