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第32回:数値では語れない“相場観”の力  〜大体をイメージする思考のすすめ〜

目次

私たちは日々の仕事において、成果を測るため、または計画を立てるために「数値」を多用します。

数値化は客観性を高め、効率的に物事を進める手助けにもなります。しかし一方で、数字に縛られすぎると、本来の目的から逸れたり、かえって判断を難しくしたりするリスクも潜んでいます。特に、経営判断や事業計画の初期段階では、正確な数値よりも「大体これくらい」という感覚的なイメージが求められる場面が多々あります。

いわゆる“相場観”がものを言うのです。数字では表せない大きさを、相手の立場や文脈を踏まえてどう表現できるか。その力こそが、ビジネスの場で信頼を築き、物事を前に進める大きな原動力になります。

本稿では、この「相場観」を持つことの大切さと、共創ソリューションズとしての私たちの役割について考えていきたいと思います。

【目次】

1.数値化のメリットと落とし穴

・数値化によって得られる客観性・効率性

・しかし過剰に依存すると「数字が独り歩き」するリスク

・数値を扱うことの本質を問い直す必要性

2.ビジネスで求められる“相場観”とは

・数字ではなく「大体」で良い場面がある

・経営判断や初期段階の議論で重要になる感覚的な尺度

・「相手が本当に求めている答え」を察知する力

3.相場観を鍛える具体的な方法

・日常の経験から「感覚的な比較」を積み重ねる

・数値と感覚の両方を意識して表現してみる習慣

・「A3用紙一枚分」「25mプールくらい」など身近な例えの活用

4.共創ソリューションズが提供できる価値

・数値的な分析に偏らない“現場感覚”を重視したサポート

・経営者やチームが「数字と相場観」をバランス良く使い分けられる仕組みづくり

・共に考え、共に創るパートナーとしての役割

5.まとめ

・数値だけでは見えない部分を補う「相場観」の大切さ

・それを磨くことで、より柔軟で伝わるコミュニケーションが可能に

・「数字と感覚の両輪」で、会社も人も成長していく

 

1.数値化のメリットと落とし穴

ビジネスの世界では「数値化」が効率的な手法として多用されます。売上高や利益率、KPIといった指標は、進捗を把握したり客観的に比較したりするうえで非常に有効です。誰が見ても同じ基準で判断できるため、組織全体で共通認識を持ちやすいという利点もあります。

しかし、数値に過度に依存してしまうと、数字そのものが目的化し「数字が独り歩き」してしまう危険があります。たとえば、計画通りに数値を達成していても、現場の声やお客様の感覚とは乖離しているケースは少なくありません。また、細かな数値を作り込むために余計な工数がかかり、本来注ぐべき創造的な時間が削られてしまうこともあります。

数字は大切ですが、あくまで「全体像を把握するための道具」に過ぎません。その本質を見誤らず、数字の裏にある現実や背景を意識することが求められます。

2.ビジネスで求められる“相場観”とは

数字だけでは語れない領域があります。特に事業計画の初期段階や、経営層に対する報告の場では、緻密な数値よりも「大体どのくらいか」という感覚的な答えが重視されることが多いのです。例えば「新しい施策を実行すれば、どれくらいのインパクトがあるのか?」と問われたとき、最小単位まで細分化した数字よりも「全体売上の5〜10%程度」「一部市場に強く響く規模」といった相場観の表現の方が、意思決定に役立つことがあります。

つまり、相手がその場で何を求めているのかを察知し、数値と感覚を使い分ける力が“相場観”です。この相場観があれば、相手の意図を汲み取り、余計な議論の手間を減らし、スピーディーで有効なコミュニケーションが可能になります。数字と同様に、経営に欠かせないスキルの一つと言えるでしょう。

3.相場観を鍛える具体的な方法

相場観は特別な才能ではなく、日々の経験と意識で磨くことができます。第一に意識したいのは、数値と感覚を「両輪で考える」習慣です。例えば「会議の準備にどれくらい時間がかかるか?」と考えるとき、単に「2時間」と答えるのではなく、「映画1本を観るくらい」と例えることで、相手の理解が早くなります。

また、日常生活の中で「大体のイメージ」を掴む訓練を重ねるのも効果的です。道のりを「駅から歩いて10分」ではなく「コンビニ3軒分くらい」と置き換える。作業量を「5,000文字」ではなく「A4用紙10枚程度」と表現する。こうした積み重ねが、数字だけでは表せない感覚を養います。

要は「数値の正確さ」と「イメージのわかりやすさ」を場面に応じて選び取ること。その柔軟さが、相場観を育てる最大のポイントなのです。

4.共創ソリューションズが提供できる価値

私たち共創ソリューションズは、単なる数値分析だけにとどまらず、「現場感覚」や「相場観」を重視したサポートを行っています。経営においては、数値だけを追い求めても本質的な解決には至りません。大切なのは、数字の裏にある現場の実態や、人がどう感じるかという感覚をどう捉えるかです。

私たちは、経営者や社員の方々が「数値」と「相場観」を適切に使い分けられるよう伴走し、議論の質を高め、意思決定をスムーズにするお手伝いをします。たとえば、定量的なデータ分析を踏まえつつ「大体この方向性で良い」という感覚的な合意形成を支援することで、数字と現場の双方に根ざした判断が可能になります。

共創という名の通り、経営者と共に考え、未来を共に創っていく存在でありたい。それが私たちの使命です。

5.まとめ

数字は客観性と効率性をもたらす一方で、過度に依存すれば本質を見誤る危険があります。だからこそ、それを補う“相場観”が重要です。相場観を身につければ、相手の意図を汲み取り、状況に即した柔軟な答えを返すことができ、コミュニケーションの質も大きく向上します。

「数字」と「感覚」という二つの視点をバランスよく活かすこと。それが、経営の場において信頼を築き、組織をより良い方向へと導く鍵になるのです。

 

大切なのは“数字”と“感覚”のバランス。その両輪が、確かな経営を支えます。