かつて日本の就職活動は、「どんな仕事をするか」よりも「どの企業に入るか」に重きが置かれてきました。いわゆる“就社”の文化です。企業の知名度や規模、待遇の安定性が重視され、人生を預ける先としての「会社」に入ることが目的となっていました。しかし、終身雇用や年功序列といった従来の制度が揺らぎ始めた今、若い世代の価値観は着実に変わりつつあります。
「自分に合った仕事がしたい」「将来につながるスキルを身につけたい」「会社よりも“仕事”を選びたい」──そんな“就職”志向の強まりは、大手企業志向の一辺倒だった流れに風穴を開け、中小企業にとって大きなチャンスとなっています。
本記事では、就職観の変化がなぜ中小企業にとって追い風なのか、そしてその流れを活かしていくために共創ソリューションズがどのように支援できるのかをご紹介します。今こそ、自社の魅力を見つめ直し、これまで出会えなかった人材とつながる絶好のタイミングかもしれません。
1.変わりゆく就職観:「就社」から「就職」への価値観シフト
かつての日本では、「いい会社に入ること」が人生の安定と成功の象徴とされてきました。いわゆる「就社」――会社そのものを選び、終身雇用を前提に新卒一括採用で入社し、社内の人事異動を受けながら働き続けるという文化です。就職活動は企業のブランド力や規模、待遇の良さに目を向ける傾向が強く、「どんな仕事をしたいか」より「どの会社に入るか」が重視されてきたのです。
しかし、社会の変化とともにこの価値観は大きく揺らぎ始めました。終身雇用の制度が崩れ、企業が社員の生涯を保障する時代は終わりを告げつつあります。加えて、コロナ禍やデジタル化の進展によって働き方そのものが多様化し、若い世代を中心に「自分らしく働く」「やりたいことを実現する」という意識が広がっています。
このような変化の中で、「就職」――つまり、仕事の内容や自身の適性、将来のキャリア形成を重視する考え方が浸透してきました。会社に“入る”ことが目的ではなく、“何をするか”が問われる時代に変わってきているのです。
こうした価値観の変化は、大企業一辺倒だった人材の流れに変化をもたらし、中小企業にとっては新たな可能性が広がる大きなチャンスでもあります。これまで注目されにくかった小規模企業や地方企業でも、「自分に合った仕事ができそう」「雰囲気が良さそう」といった理由で選ばれる機会が増えてきているのです。
次章では、このような価値観の変化が、なぜ中小企業にとって「追い風」になるのかを詳しく見ていきましょう。
2.若者の就職観の変化がもたらす中小企業への追い風
「就社」から「就職」へと若者の意識が移り変わる中で、中小企業にとってはこれまでにないチャンスが広がっています。これまで大手企業に集中していた優秀な人材の流れが、多様な働き方や価値観を求めて“自分に合った環境”を探す方向へとシフトしているためです。
とくに最近の若者は、「働きがい」や「人間関係の良さ」、「自分の成長につながる経験」など、定量的な条件だけでは測れない部分に価値を見出す傾向が強くなっています。彼らにとって、社風や職場の雰囲気、先輩社員との距離感といった“見えにくい部分”が、就職先を選ぶ上での大きな判断材料になっているのです。
この点で、中小企業は大手にない強みを持っています。たとえば、
・経営層との距離が近く、現場の声が通りやすい
・一人ひとりの裁量が大きく、やりがいを感じやすい
・少人数ゆえの風通しの良さやアットホームな雰囲気
こうした特徴は、「自分らしく働きたい」「無理なく仕事と人生を両立させたい」と考える人材にとって、非常に魅力的に映る要素です。
また、大手企業では経験しにくい多様な業務やポジションへのチャレンジも、中小企業ならではの魅力。若いうちから責任ある仕事を任され、スピード感を持って成長できる環境は、成長志向の高い若者にとってまさに「穴場」と言えるでしょう。
加えて、地方創生や働き方改革、地域貢献といった社会的な関心が高まる中で、“地域に根ざした企業で働く”という価値観も見直されつつあります。ブランド力や知名度では測れない「会社の個性」や「人の温かみ」が、若者の心を動かす時代が来ているのです。
このような流れは、これまで採用に苦戦していた中小企業にとって、大きな追い風です。自社の魅力や個性をしっかりと言語化し、適切に発信することで、これまで出会えなかった人材とつながる可能性が高まっています。
次の章では、そうした人材と出会うために、中小企業がどのような取り組みをすべきかを見ていきます。自社の「色」を活かす採用戦略こそ、これからの時代に求められるアプローチです。
3.魅力ある職場づくりで人材と出会うために
若者の価値観の変化により、中小企業にも新しい人材との出会いのチャンスが生まれています。しかしそのチャンスを確実につかむためには、「魅力ある職場づくり」が欠かせません。単に待遇や制度を整えるだけでなく、企業の“らしさ”や“人間味”をどう伝え、どう感じてもらうかがポイントになります。
まず意識したいのは、企業の魅力を「見える化」することです。中小企業の強みは、オリジナリティのある技術力や柔軟な社風、社員同士の距離の近さなど、数値では表せない要素にあります。こうした価値を、採用活動においても言語化し、わかりやすく発信していくことが大切です。
たとえば、以下のような情報発信が効果的です。
・社員インタビューや座談会の動画/記事を通じてリアルな声を届ける
・「一日の仕事の流れ」や「成長のストーリー」を具体的に紹介する
・社内の雰囲気が伝わる写真やSNS投稿で安心感を持ってもらう
・経営者の想いやビジョンを直接言葉にして発信する
また、求職者が会社に対して感じる“不安”を払拭することも重要です。「中小企業=不安定」と思われがちなイメージに対し、将来性・地域貢献・技術の強みなどを通じて、信頼感を積み上げていく必要があります。
さらに、若手社員が「ここで働きたい」と思えるような環境整備も欠かせません。
・成長機会があること(OJTや社内研修)
・失敗を恐れず挑戦できる雰囲気
・日常的に感謝や承認が交わされる風土
といった要素が、長く働きたい職場としての魅力につながっていきます。
中小企業には、“人が見える”という強みがあります。だからこそ、表面的なスペックだけでなく、「この会社の人たちと働きたい」「この雰囲気が好き」という感覚が応募動機になりやすいのです。
こうした魅力をしっかりと伝えられる仕組みづくりが、今後の人材獲得におけるカギとなります。次章では、こうした取り組みを共創ソリューションズがどのように支援できるかをご紹介します。
4.共創ソリューションズが支援する“就職”時代の人材戦略
「就社」から「就職」へと変わりつつある価値観の転換は、中小企業にとって確かに追い風です。しかし、その流れを実際の成果として生かしていくには、自社の魅力を整理・言語化し、求職者に“伝わる形”で届ける戦略的な取り組みが必要です。共創ソリューションズでは、こうした“新しい就職時代”に対応した中小企業の人材戦略を、多面的にサポートしています。
まず重要なのは、企業の「らしさ」を明確にすることです。共創ソリューションズでは、経営者の想いや理念、企業の強み、職場の風土を丁寧にヒアリングし、採用に活かせる言葉や表現に落とし込むお手伝いをしています。それによって、企業自身も再認識できる「自社の魅力」が整理され、採用活動で一貫したメッセージが打ち出せるようになります。
次に、求職者に伝えるための発信支援です。採用ページの見直しや求人票の内容、SNSやブログ、パンフレットなどを活用した情報発信のサポートを行い、実際に応募につながる導線を整えます。大切なのは、大手企業と比べるのではなく、“この会社で働きたい”と思えるリアルな魅力を発信することです。
また、社内環境づくりや人材育成の支援も共創ソリューションズの重要な領域です。採用後にミスマッチが起きないよう、入社後のフォロー体制やOJTプランの設計、若手社員が活躍できる組織風土の醸成などを、現場に寄り添いながら構築していきます。単なる“採用支援”にとどまらず、「定着」「育成」「活躍」まで見据えた総合的な人材戦略を支援しています。
そして何より私たちは、経営者とともに考え、伴走する“軍師”としてのスタンスを大切にしています。すぐに答えを押しつけるのではなく、企業が自らの言葉で語り、人と人のつながりを育む力を引き出すサポート。それこそが、共創ソリューションズの本質です。
「就職」重視の時代は、中小企業にとって“選ばれる”可能性が広がる時代。自社の魅力に気づき、それを発信し、未来の仲間と出会うために。共創ソリューションズはその第一歩から、しっかりと寄り添って支援します。